経歴
金沢の大学を卒業後、地元広島の企業に就職、転勤を機に東京に上京し、IT業界への転職を経験。今のビジネスパートナーと数年前から東京で再会し、2024年の能登地震を契機に能登栗を活かすクラフトビール事業を構想・始動。現在はITエンジニアとして金融機関の業務に携わりながら会社を運営し、システム全般を担当。OEM製造を経て、1年以内の金沢での自社工場設立と販路拡大、インバウンド展開を目指している。
Q
御社の事業内容を教えてください。
私たちは、能登の特産品である「能登栗」を活かしたクラフトビールの企画・販売を中心に、地域食材を使った商品開発・プロデュースと観光・地域活性化イベントへの出店などを行っています。
メインは希少な能登栗を100%使った、賞味期限78日間限定の濃厚なダークエールを製造・販売することです。本来なら規格外や小粒の能登栗は廃棄されてしまうのですが、ペースト状にすることでクラフトビールに活用しています。そうすることで食品ロスの削減や、地域循環と復興支援に繋がります。現在は金沢駅のお土産コーナーやインバウンド向けの展開も準備中です。
Q
御社設立のきっかけを教えてください。
私と共同代表の本田は金沢の大学で同じ研究室に所属し、その頃から仲良くしていました。社会に出てからは別々の仕事をしていたのですが、4〜5年前に東京のお店でたまたま再会し、また二人で何か面白いことをやりたいねと話していたんです。その後に能登で地震が起き、石川県に貢献できることはないかと思い始めたのが一つのきっかけですね。
能登には貴重な栗があるというのと、もともと二人ともクラフトビールが大好きでしたので、その栗を使ってクラフトビールを作れば地域活性につながるのではないかと考えたんです。
本田は育休中にクラフトビールのスクールで仕込みから瓶詰めまでのノウハウを学び、実際に作ってみたらクオリティ高く仕上がったので、能登栗と黒ビールを掛け合わせたクラフトビールで地域貢献しようと思い共同で会社を立ち上げました。
Q
起業後に直面した壁や苦労はありますか?

まずは認知ですね。「能登栗のクラフトビールをどうやって知ってもらうか」が一番の壁だと感じました。認知拡大についてはまだまだ試行錯誤をしています。
味づくりも難しくて、ビールは「発酵」という工程を挟むので、作る前と後で味が一緒にならないんです。温度管理ひとつで酸味やえぐみが変わりますし、一回の製造に約1ヶ月かかるんですよ。レシピはあるんですが、私たちの思う味になるかどうかは作ってみないと分かりません。改良するにしてもやはり徹底した管理が必要です。
大手の缶ビールはどこで買っても味が変わりません。あのクオリティを維持するのはとても難しいということを実感しました。
Q
経営において大切にされていることを教えてください。
私が一番大事にしているのは、相手の声をちゃんと聞くことです。お客様、生産者様、製造メーカー様、それぞれが考えていることを受け取り、ビールを通した伝聞者でありたいと思っています。
能登は震災の影響もあって人も減り、農家の方も高齢者が多く、続けるのが難しい現実があります。しかし能登栗という貴重な資源があります。それを活かさないのはもったいないので、能登栗を復興につなげつつ、その良さと現状をきちんと伝えていきたいです。
ビールを好きな方にまず手に取ってもらい、能登栗の良さを知ってもらうことが、復興でまだ苦しんでいる方がいる現実を伝える力にもなると思っています。現場に足を運び、ヒアリングした声を加工や製造の段取りにも反映させます。相手が何を求めているかを聞き、私にできる形で返す。その積み重ねを経営の軸にしています。
Q
将来的なビジョンや現時点での目標を教えてください。
私のビジョンは「能登栗を世界へ」です。栗は世界中にありますが、日本みたいにそのまま食べたり、ペーストにして食べ物に入れたりする文化は多くありません。まずはビールを通して、希少で価値のある能登栗があるということを世界に伝えていくのが将来的な大きいビジョンです。
今はアジア向けの卸ルートを開拓中で、ロットが増えたタイミングで本格展開します。アジアは純粋なビールが多く、フルーティーなエール系で栗が入ったビールはほとんどないので、差別化にもなりますし、知ってもらうチャンスだと思っています。
金沢のインバウンドにも入っていきたくて、石川県にある駅のお土産コーナーとも相談し、年内の店頭展開を目指しています。今は立ち上げ期でチャンスだと思っていますので、どんどん動きまわっています。

- 企業名
- 金沢クラフト合同会社
- 代表者
- 齊藤 賢人
- 所在地
- 石川県金沢市田上さくら3丁目82番地
- 設立
- 2025年7月
- 事業内容
-
- ・クラフトビールの企画・販売
- ・商品開発・プロデュース
- ・イベント出店・コラボレーション
-
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