経歴
新卒で大手旅行会社に入社し、営業としてキャリアをスタート。実力主義の環境で法人営業を中心に経験を積む。在職中に医療分野への関心を深め、製薬会社および医療系ベンチャー企業へとキャリアを移行。がんや難病領域に関わる事業に携わる。2020年7月、東京大学医科学研究所発ベンチャーである株式会社Liquid Mineに参画。同年11月より代表取締役社長に就任。現在は全ゲノム解析を基盤とした白血病検査の社会実装を推進する経営者である。
Q
御社の事業内容について教えてください。
弊社では、白血病をはじめとする血液のがん領域を中心に、全ゲノム解析を基盤とした検査の開発と提供を行っています。2015年より東京大学医科学研究所で研究を重ね、その成果を社会実装するため、2019年に設立された東大医科研発ベンチャーです。主力製品は白血病向け検査プログラムMyRDで、三つの技術を結集しています。
一つ目は、白血病患者様の遺伝子変異を正確に特定する全ゲノム解析技術です。二つ目は、その結果をもとに、患者様一人一人に合わせて検査薬を作成する技術です。そして三つ目が、血液検査で治療経過をモニタリングできる技術です。
これにより、従来は骨髄検査が必要だった検査を血液のみで実施でき、患者様の身体的負担を大きく軽減しています。治療効果を血液で正確に把握することで、精密医療の実現を支援しています。
Q
白血病とは、どのような病気なのでしょうか?
白血病は、骨髄の中で赤血球や白血球などを造り出す造血幹細胞の一部ががん化してしまう病気です。国内の新規発症者は年間で約1万4000人ほどおり、高齢になるほど発症リスクが高くなります。一方で、赤ちゃんや小中学生など若いお子さんにとっても一番多いがんとして知られており、子どもから大人まで広く分布しているのが特徴です。白血病は進行が早く、1日単位や週単位で一気に増悪してしまう患者さんも多いため、早期の発見が非常に重要となります。
現在でも5年生存率は約5割程度にとどまっており、原因は完全には解明されていませんが、喫煙やストレス、遺伝性が関係していると言われています。多くの場合、健康診断などの血液検査で赤血球の異常な増減により気づき、詳細な検査を経て白血病と診断されます。遺伝子の状態によっては、すぐに移植に踏み切ったり、強い抗がん剤で一気に治療方針を切り替える必要があります。
Q
MyRD(マイアールディ)とは、どのような製品なのでしょうか?
MyRDは、白血病の患者様を対象に開発された検査です。全ゲノム解析を用いて原因となる遺伝子変異を正確に特定し、その結果をもとに、患者様一人ひとりに合わせた検査薬を設計します。一定の分類は可能ですが、最終的には個別にカスタマイズする点が特徴です。
これまで経過観察には、腰の骨に太い針を刺す骨髄検査が必要でしたが、MyRDでは血液検査によって、骨髄検査と同等の精度でモニタリングが可能です。医療機関で採取された血液検体を解析し、結果はレポートとしてお返しします。治療後に白血病細胞の増減を継続的に把握できる検査であり、治療薬を直接作るものではありません。
解析にかかる期間は、全ゲノム解析が約3〜4週間、モニタリング検査は約1週間です。現在は、薬事承認および保険適用に向けた手続きを進めており、患者様は基本的に医療機関の先生から案内される検査となっています。
Q
現時点での目標や将来のビジョンについて教えてください。

現時点での目標は、国からの薬事承認と保険適用を得て、MyRDを患者様にとって当たり前の選択肢にすることです。厚生労働省やPMDAと対話を重ね、国のお墨付きをもらうには3年〜5年といった時間が必要ですが、そのハードルを一つ一つ越えていきたいと考えています。承認が通れば、医療機関で先生から自然に案内され、患者様がいつでも検査を受けられる体制が整います。
現在は約500施設を対象に、現在102の施設まで普及を進めており、残る医療機関への認知拡大も重要な課題です。さらに欧州やアメリカからの問い合わせも増えており、海外展開の準備も進めています。次の資金調達後には人員を増やし、患者様ファーストの姿勢で事業を前に進めていきます。
(取材者:山田のコメント)専門性の高い分野でありながら、終始かみ砕いた言葉で説明してくださいました。がんや白血病は私自身も含め、誰にとっても他人事ではない病気だと思います。MyRDは不安に追い込まれた患者様を救う希望の光であり、ぜひ多くの人に知っていただきたい製品です。

- 企業名
- 株式会社Liquid Mine
- 代表者
- 岸本 倫和
- 所在地
- 東京都渋谷区道玄坂1-10-8
- 設立
- 2019年11月
- 事業内容
-
- ・医療に関する各種検査プログラムの開発、販売
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