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INTERVIEW

株式会社生き直し / 千葉 龍一

生き直せる社会を、この手で

KEIEISYA PRIME

経歴

大学在学中の交通事故をきっかけに司法の道を志し、約10年間にわたり学びを重ねる。人の再出発を支えたいという思いから、歌舞伎町の駆け込み寺に入職し、出所者の生活支援に携わる。法務省から委託を受けて運営する受託事業「自立準備ホーム」の施設長として約5年間勤務し、社会復帰を目指す人々と向き合ってきた。現在は、出所者の住まいと就労を支える事業を展開し、誰もがもう一度や生き直せる社会の実現を目指している。

Q

御社の事業内容を教えてください。

出所者の社会復帰を支援するため、自立準備ホームの運営を行っています。刑務所を出た後に住まいを確保できず、再び犯罪に手を染めてしまう人が多い現状を変えたい思いから立ち上げました。

現在は男性寮二つ、女性寮一つの計三施設を運営し、住居の提供だけでなく、就労支援や一人暮らしに向けた生活訓練、医療機関との連携支援など、再出発に必要な環境を整えています。地域の協力を得ながら入居者の自立を後押ししてきました。

誰もが過去を乗り越え、再び社会の一員として生き直せる環境をつくること、それが私たちの使命です。

Q

御社設立のきっかけを教えてください。

私が会社を設立した大きなきっかけには、前職で自立準備ホームの施設長として働いた経験に加えて、私自身の過去の体験があります。大学時代に交通事故を起こし、大切な友人を失ってしまい、裁判を通して生きる意味や責任について深く向き合いました。その時、仲間に支えられた経験が、いつか自分も誰かの力になりたいという思いにつながりました。

法務省から委託を受けて運営する受託事業として約5年間、出所者の生活を支援してきましたが、2018年にその施設が閉鎖となりました。当時痛感したのは、住む場所を失うことが、人生の再出発をどれほど難しくするかという厳しい現実です。行き場をなくした人たちを前に、このまま何もしないわけにはいかないと強く思いました。

資金もほとんどなく、理解者も少ない中での厳しいスタートでしたが、過去を背負った人がもう一度やり直せる居場所をつくりたい。
その思いだけが私を突き動かして今の活動を始めました。

Q

関わりの中で大切にされていることを教えてください。

私が一番大切にしているのは、相手と対等に接することです。刑務所を出てきた方々と関わる中で、上から指導するのではなく、同じ人間として向き合う姿勢を常に大切にしています。

以前、施設長として働いていた頃は、つい上から目線になってしまい、毎日のように衝突することもありました。しかし、環境が違えば私よりも優れた人は多く、そこに気づいてからは、立場ではなく人としての尊重を意識するようになりました。

入居者には「先生」ではなく「千葉さん」と呼んでもらい、できる限り対等な関係を築くよう心がけています。そして、今の事業は多くの方々の支えによって成り立っています。そのことへの感謝を忘れず、助け合いながら歩みを続けていくことを心に留めています。

Q

現時点での目標や将来のビジョンについて教えてください。

私の今後の目標は、出所者の方々が自らの経験を活かし、人を支える側へと成長していける環境をつくることです。現在は私自身が運営をしていますが、将来的には入居者自身が管理人として関わり、施設の運営や支援活動にも携われるような仕組みを整えていきたいと考えています。

現在、女性寮については、元受刑者の方に運営を手伝ってもらっており、私が支えることではなく“同じ経験を持つ仲間同士が助け合う循環”を生み出すことが出来始めていると感じています。住まいがないことで再出発をあきらめてしまう人を減らし、出てきた人が社会の中で再び役割を持ち、誰かを支えられる存在になれるようにしたい。

そして、その小さな循環を地域の人々や行政と協力しながら少しずつ広げ、誰もがもう一度生き直せる社会を実現していくことが、私の描く未来です。

(取材者:大神田のコメント)一人一人と対等な立場でお話しされているというお話がとても印象的でした。また後日、インタビューの感想を心温まる手紙をいただき、千葉さんのお人柄はとても真っ直ぐな方だなと感じております!

企業名
株式会社生き直し
代表者
千葉 龍一
設立
2018年8月
事業内容
  • ・刑務所出所者等に対する更生支援及び就労支援
  • ・自立準備ホームの運営
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