経歴
1977年に滋賀県で生まれ、大学区卒業後は小売・アクションスポーツ業界を経験。ITと仕組み化の可能性に気づき28歳でIT業界へ転身した。30歳頃には東京支社立ち上げに参画し、推進役を務める。34歳にがん闘病を経て人生観が変わり、2014年に株式会社ラフティを創業する。小売システム刷新を統括する一方で、廃ペットボトルを再利用した透明サーフボード「Sea Through」の開発と、自身の経験をまとめた著書『乗り越え力』を出版、AIアプリ開発など複数事業を勢力的に展開している。
Q
御社の事業内容について教えてください。
私はITを中心に、業務の仕組み化や効率化に関わる事業を行っています。小売向けの業務改善、Windowsアプリ開発、サーバー構築、クラウド整備などを一貫して担い、要件定義から設計書、パートナー会社へのディレクションまで含めたコンサルティングを行っています。また、音声メモのAIアプリを個人向け・法人向けに提供し、記録業務の負担軽減にも取り組んでいます。
現在、特に力を入れている事業の一つとして、透明サーフボードの開発があります。国内では製造方法が確立されていない領域で、素材選定や工程づくりを一つずつ整理しながら進めてきました。環境負荷の低い素材や製法を模索することも意識しており、自分の軸である「仕組みのないところに仕組みをつくる」姿勢が自然と活きる領域だと感じています。
Q
透明サーフボードにしようと思った最初のきっかけはどんな瞬間でしたか。

きっかけは、福島県いわき市の海岸でサーフィンをしていた時です。その日はよく晴れて人も少なく、海面は驚くほど静かでした。太陽の光が真っすぐ海中に差し込み、波待ちのときには足元の砂まで見えるほどの透明度で、これほど透明で美しい海は初めてだと感じました。
この時に「もしサーフボードが透明なら、この景色をずっと見ていられるのに」と自然に思いました。その場で“透明サーフボード”とだけスマホにメモし、帰ってすぐ素材の検討を始めました。ガラスやファイバーは重さや扱いやすさ、そして海との相性を考えてもしっくり来ず、どうせ作るなら海にとってプラスになるものにしたいと強く感じました。
キレイな海を守りたい思いと、深刻な環境問題にもなっている廃棄ペットボトルを活用する発想がつながり、一気に方向性が定まりました。
Q
透明サーフボードの開発について苦労したことはありますか。
透明サーフボードの開発は海をきれいにしたいという想いから、透明部分の素材を廃棄ペットボトルに決めました。ボード1本あたり約40本を再利用しており、均一に成形するために専用の金型からを作りました。
2020年から販売開始までの約5年間で、テストを含めて10本以上のボードを製作し、約2,500万円を自己投資しました。特に苦労したのは、試作のたびに強度テストや壊れ方の検証を繰り返す必要があったことです。ボードが割れて水が入るなどのトラブルがあるたびに、金型を見直すため多額の費用がかかり、頭を抱えました。
開発初期はコロナ禍で工場を探す視察ができずプロジェクトが停滞し、心を折られそうになった時期もあります。また、ITに慣れた私と、感覚で制作する工場側の値段交渉やトライ&エラーを何度も繰り返し、ようやく今のボードが完成できたと思っています
Q
現時点での目標や将来のビジョンについて教えてください。

私の目標は、透明サーフボード『Sea Through』を通じて自然と共に生きる意識を広げ、海を守る行動につなげていくことです。廃棄ペットボトルを再利用したこのボードを国内外へ広げ、まずは海をきれいにしたいという想いを多くの人に届けることが現時点での目標です。
そのうえで、リサイクル率の低い東南アジアやインドネシアに工場をつくり、現地の海を守る仕組みを一緒につくりたいと考えています。最終的には、日本の高度な分別やリサイクルの仕組みを海外に「パッケージ」として展開し、世界の海をきれいにしていきたいです。また、将来的には奥村哲次が地球をきれいにしたと言われるようにまでなりたいですね。
(取材者:山田のコメント)奥村さんの言葉には、一つひとつに「本気で海を変えたい」という芯の強さがありました。海をきれいにしたいという大きなテーマに対して、理想を語るだけでなく行動で示してきた人だからこその熱量があり、その情熱が周囲の人を自然と巻き込んでいくのだと感じました。

- 企業名
- 株式会社ラフティ
- 代表者
- 奥村 哲次
- 所在地
- 千葉県市川市広尾1-3-14
- 設立
- 2014年5月
- 事業内容
-
- ・透明サーフボード「Sea Through」の企画・製造・販売
- ・音声メモAI(議事録アプリ)の企画・開発・運営
- ・ITコンサルティング / 業務自動化(GAS・AI)システム開発
- ・Web制作・SNSマーケティング支援
- ・執筆/講演活動(DX・生産性・働き方・AI活用)
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