私は広告制作を行う中で、映像・グラフィック・ホームページ用の写真や文章までを一つの現場でまとめて制作できる体制を整えています。テレビの15秒・30秒から、そのまま同じ世界観でウェブ用、電車内、タクシー用、縦型動画まで展開できるため、表現の統一を崩さずに制作を進められることが強みです。また、複数業者に依頼した際に起こりがちな“伝わり方のズレ”も防げます。

現在はSNS、記事、紙媒体など広告手段が非常に多く、私はその中から50以上の手法を組み合わせて最適な形を選べることを大切にしています。企業の規模や商品の特性に合わせて、どこに最も反応が出るかを見極め、オンラインとオフラインを掛け合わせながら無駄な費用を抑えつつ効果を最大化する提案ができる点が、他社にはない大きな特徴だと考えています。

私にとって広告が与える影響は、ただ商品を知らせるものではなく、ブランドの意味づけをつくり、人の記憶に残る“想起の起点”になることだと思っています。昔のコカコーラや正露丸のように、音や映像、世界観が一貫していると、必要になった瞬間にあそこだなと自然に思い出してもらえる。それが広告の力です。昔はテレビCMのマスの力が強く、みんなが同じものを見て、同じ話題で盛り上がる時代でした。

今はSNSやリスティング広告が主流で、説明的な言葉が多く、機能的価値だけが伝わって感情に届きにくいと感じる場面が増えました。それでも本来の広告は、ブランドの意味づけや想起をつくる役割があり、心に残る表現ができれば、時間が経ってニーズが生まれた瞬間に思い出してもらえる強さがあります。広告は商品の特徴だけでなく、企業の世界観やメッセージを伝え、未来の選択肢を広げていく力があると考えています。

私が大切にしているのは、クライアントができるだけ自然に、気持ちよく話せる状態をつくることです。相手の感情が少し上がっているなと感じれば一度距離を置き、逆に必要な場面でははっきり「それはできません」と伝えます。結果が残らなければ意味がないため、気持ちへの配慮と成果の両方を丁寧に扱いたいと思っています。

また、経営者の方は最初は考えていることがまだ形になっていないことも多いので、会話の中から本質がこぼれ落ちないよう、言葉の定義を一つずつ確認しながら整理していきます。これは長年、演出の現場で意識の向き方や自然な表情を引き出す演技付けをしてきた経験が活きていると感じています。相手が違和感なく話せて、本当に伝えたいことが浮き上がる関わり方を常に心がけています。

私の将来の目標は、日本の企業が再び世界で存在感を持てるような広告やブランドづくりを支えることです。80年代には世界のトップ企業の多くを日本が占めていましたが、今は状況が大きく変わっています。もし日本からアップルやグーグルのような企業が生まれていれば、経済も全く違う景色になっていたはずです。

私は広告には国を動かすほどの力があると思っていて、日本発の優れた技術やサービスが世界に届くための後押しをしたいと考えています。海外進出を無理に行わなくても、ブランドが広がれば向こうから声がかかる時代です。だからこそ、企業が持つ可能性を広告で最大化し、世界に通用するブランドを一つでも増やしたい。それが最終的に日本経済を少しでも前向きに変える力になると信じています。