私たちの事業は、映像を中心にコミュニケーションをデザインしていくクリエイティブファームとして、クリエイティブの力で人や社会の課題を少しでも良い方向へ動かすことです。立ち上げ当初は映像制作がメインでしたが、活動していく中で企画やイベント、リブランディングのサポートなどにも取り組むようになり、気づけば自然と領域が広がっていきました。

企業や地域が抱える悩みに合わせて、一番しっくりくる形のアウトプットを一緒につくっていくイメージです。すべて映像制作から派生した取り組みで、枠にとらわれない自由な発想を大切にしています。

また、地方では不動産やホテルの観光事業にも挑戦していて、結果的に地方創生にもつながる動きになっています。映像を軸にしながら、より広い視点でコミュニケーションを生み出せる会社として進化を続けています。

起業してから感じている一番の壁は、一人の頃とはまったく違う「人の人生を預かる」という責任の重さです。一人で動いていた時は案件ごとに支払いを済ませれば完結していましたが、法人になるとインターン生であっても毎月お給料を支え続ける必要があり、人件費や固定費の継続性は今も大きなプレッシャーになっています。

また、20代は自宅で自由に仕事をしていましたが、創業時にあえてシェアオフィスを構えたことで、固定費という逃れられない責任も生まれました。「売り上げは社会からの期待値」で「利益は企業努力」だと思っているからこそ、利益をどう残すかを考える作業は正直簡単ではありません。

それでも立ち上げ当初からありがたいご相談を多くいただけていて、ご縁にしっかり応えたいという思いが、日々の責任と向き合う原動力になっています。

様々な企業と関わる中で大事にしているのは、ご紹介いただいた相手にできるだけ早く連絡を返すことです。
紹介の段階では信用貯金はありませんので、ゼロから丁寧に積み上げていくことを大切にしています。

特にお客様に提示した見積もり金額の理由を聞かれた時は、上長への報告に困らないよう、細かく背景を書き、お客様が安心できるようしっかりと説明するようにしています。そうした小さな丁寧な対応を重ねることで、お客様の不安を信用に変えてくれると思っています。

また、どの方が繋いでくれたご縁なのかを絶対に忘れず、進捗や結果を紹介者にもきちんとお伝えする様心がけています。
そういった情報は社内にも共有することで、なぜその仕事が生まれたのかをみんなが理解でき、日々の積み重ねが未来の仕事につながる感覚も育ちます。目の前の仕事が五年後につながると思って、人との関係性を丁寧に扱うことを大切にしています。

起業を目指している女性に伝えたいのは、「中途半端にやらないでほしい」ということです。私自身、最初から立派な理由があったわけではありませんが、やると決めた以上は自分の責任で向き合う姿勢だけは大切にしてきました。

特に女性は、誰かのお金や環境に頼ろうと思えば頼れてしまう場面が多いからこそ、頼った状態のまま起業すると、何かあった時に責任を手放しやすくなる怖さがあります。だから、自分で自己資本を入れ、自分の意思で立つ覚悟を持つことが本当に重要だと感じています。

完璧な準備がなくても挑戦はできますが、自分の力で一歩を踏み出す経験は、その後の大きな自信につながります。起業の先には、自分で動いた人にしか見えない景色があります。怖さよりも、自分の人生を自分で進める喜びを信じて、一歩を踏み出してほしいです。